本質を突く「問い」(2024年8月園だより)
2025-07-24
「店長さんが出来ないことは何ですか?」
これは、先日つきぐみの子がマルイアプト店に見学に行った時、ある子が店長にした質問です。
子ども園では今、各クラスで「お店屋さんごっこ」が盛り上がっています。そこで担任の先生が実際のお店を見てみては?と提案、マルイアプト店の店長さんからも快く承諾を頂き、今回の見学会となりました。
園長も運転手として同行。普段とにかく安いが売りのスーパーにしか行かない私にとって、マルイさんの店内は各所に工夫と美しさが見られ、売り場を見て回るだけでもたくさんの発見がありました。しかも今回は売り場の裏(スタッフオンリー)まで見せていただき、魚をさばく場所、野菜を切る場所、袋詰めする場所、どこに荷物が届いてどう仕分けられるか、等々、個人的にかなり興味を惹かれ「ほほ~」とため息の連発でした。
この訪問時に、子ども達に丁寧に説明をして案内をして下さったのが、マルイアプト店の店長なのですが、その店長へR君が発したのが冒頭の「店長さんが出来ないことは何ですか?」という問いです。
店内隅々まで案内し、一つ一つ説明してくれて、どんな質問にも答えてくれて、普段経験することの出来ないマイナス23度の冷凍庫にも入れてくれて…。そんな店長さんはR君にはスーパーマンに見えたのかもしれませんね。なんでも知っていてすごい店長さんにできない事なんてあるのかな? そんな思いから出た質問かもしれません。
さて、その質問に対して釜木店長、
「私は、お魚をさばくことはできません。お野菜を切ることもできません。コロッケやカレーを作ることもできません」と、一つ一つ、今見てきた様々な仕事が、実は自分は何一つできないんだよ…だから一人ひとりの仕事が大切なんだねと、丁寧に伝えてくださいました。
何という問い、そしてなんという応答でしょうか。
その人を理解する時、「どんな仕事をしてますか?」「どんなことが出来ますか?」と問うことはよくありますし、私たちも自己紹介する時は「仕事は○○してて、趣味は○○で…」と言うでしょう。しかしR君は「何が出来ないか?」でその人を理解しようとしました。そして店長さんは自分が出来ないことを一つ一つあげていくことで、マルイを支えている人たち一人ひとりがかけがえないスペシャリストであること、そうした人へのリスペクトを伝えようとされたのかもしれません。
赤碕こども園の子ども達は、先生が用意した「答え」を逸脱し、自ら「問い」を発し、自ら学んでいってますね。

