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遊びと学び(2024年4月園だよりから)

2025-07-24
4月は入園・進級・入学の時期ですね。小学校の入学式で「今日から今までなかった勉強がはじまります」という挨拶がありました。確かに「勉強」はこども園生活にはありませんが、「学び」は至る所にあり、乳幼児期の「学び」は就学以降の「勉強」の大きな基礎となっています。
では「ヒトが学ぶ」とは、具体的にどういうことでしょうか。
子どもは遊びを通して、「感じて(入力)」「表現(出力)」することを繰り返しています。
「感じる」とはつまり五感(「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」)、そして「表現」は、「言葉」「音楽」「絵画造形」「身体(運動・身体の動き)」です。
そしてこの「表現」、実は全て「筋肉の動き」ということがポイントです。おしゃべりも口の筋肉を動かすことで可能で、筋肉を動かすことなしには、人からはなにも出てこないのです。よく考えると当たり前のことですが、意外な気もしますね。
「学ぶ」と言えば「入力」がイメージしやすいと思いますが(教科書を覚えるとか)、「入力」だけではなく、「出力」すること、つまり「表現すること」が「学び」に大きくかかわってきます。
表現は筋肉の動き、と言いましたが、筋肉を動かして出力することで、その結果がまた五感として自分に入ってきます。例えば…赤ちゃんが猫を見て(感じて)、手や足の筋肉を使ってハイハイして近づく(表現)。すると、その猫は、近づくにつれてだんだんと大きく見えて(感じて)きますね。「猫は猫のまま(猫が虎になることはなく)、大きさだけが大きく見えてくる」という、「自分が動いた結果」の見え方の変化を感じることになります。一見当たり前のことと感じますが、これは、中学校で習う「相似」「比例」の原体験です。赤ちゃんは何度も「自分が動いた結果感じ方が変わる」事を繰り返し、遠い将来「勉強」として習う概念の元を獲得するのです。
また「自分が動いた結果」が「失敗」として入ってくることもあります。それを繰り返すことで、出力の仕方を少しずつ変え、またその結果を感じることで、人は自分の世界を広げていきます。ハイハイから立ち上がろうとするとき、赤ちゃんは目や手や足から入って来る感覚をもとに立ち上がろうとし、何度も転びながら、その転んだ結果を感じ、じゃあこうしてみよう…と体の動かし方(表現)を少しずつ変えて、やがて立てるようになる…ということですね。
そして、子どもにとってこのサイクルは、身の回りの世界を探求する「遊び」です。子どもは(私たちも)、普段の生活の中で興味のあることに対しては、自然と感覚のアンテナを張り、そこから色々感じ、試し、関わり、対話し、学んでいきます。
この1年間、子ども達が色々と感じ、そして試すことの出来る部屋・園庭、出来事を子どもたちと一緒に作っていきたいと思っています。そしてその前提として、その中で安心して試すことの出来る「安全」な環境と生活を仕組みとして構築していくことを、今年度の重点課題としてとりくみ、保護者の皆様と共有していきたいと思います。
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