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遊びの中に見える子どもの表現(2024年2月園だより)

2024-11-20
はなぐみに入れ子状の積み木があります。この積み木は大きい順から「赤・青・緑・黄・オレンジ・紫」と色分けされており、色と大きさの違いを楽しめるおもちゃです。
Aさんはよくこの積み木を並べて遊んでいるそうです。
皆さんならこの積み木を目の前にして、どう並べますか?特に意識しなければ、多分大きい順(小さい順)に並べますね。このおもちゃは、そういう「秩序」が世の中にあるんだよ…ということを、遊びながら学ぶことを(も)意識して作られています。
世の中に秩序、つまり何かしらの法則がある事、それを子どもたちは遊びながら知っていきます。他にも例えば、園にある「レンガ積み木」は、それぞれの辺が「1:2:4」の基尺で作られいて、どう組み合わせても高さが揃い、家やお城を安定して作ることが出来ます。積み木で遊びながら、子ども達は「ピタッと揃う気持ちよさ」を感じながら、教科書で習う前に「2分の1」や「倍数」という概念に身体で触れていきます。

…少し脱線してしまいました。さて、Aさんです。
彼女がこの積み木を並べる時、基本的には「大きさ順」なのですが、必ずどこか1カ所の順番を逆に並べるそうです(→)。これは面白いですね。(これに気づき、「なぜこう並べるんだろう?」と問いを持った担任の先生の視点も!)
最初に紹介した通り、園にあるおもちゃは何かしらの願いを持って作られています。例えばこの積み木は「ほら、いろんな大きさがあるでしょ。大きい順に並べてみるときれいな階段になるよ」と子ども達に語り掛けてきます。その秩序は「美しい」と感じる心を育てるとともに、その先の「予測」も可能にし、それは私たちに「安心」ももたらします。しかし、その秩序や安心をあえて崩しているところに、Aさんの確固たる意志・表現を感じる…と言えば大げさでしょうか。
Aさんは、「あなた(積み木)の言いなりにはならない」「『私』がこの積み木で遊ぶことで、ここに私(他の誰でもない)が存在していることを証明する」と宣言しているように私は思えます。もちろん、彼女にとっては「遊び」なのですが、「遊び」「表現」は子どもにとっての存在表明・権利宣言である、と大人は見る必要があるのかもしれませんね。
さて、2月18日から「みんなの生活アート展」が始まります。子どもたちが興味を持って探求して(遊んで)来たことを、「それって『私』にとっては何なのか?」と、自分や素材・先生と対話しながら表現します。ぜひご覧ください。
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