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ものを知る…とは(2024年1月園だより)

2024-11-19
子どもは「生活や遊びを通して学ぶ」、とよく書きますが、新年早々、まさに「世界を発見した瞬間」を担任の先生が記録に残していたので紹介したいと思います。
 
あるクラスで、将棋を始めたばかりのT君(年中さん)が、担任の先生と向かい合って駒を並べていました。基本左右対称の布陣ですので、先生の並べ方を見たまま並べればいいのですが、「角」と「飛車」を並べようとしたとき…
先生 「あ、それはな、先生のと反対になるように置かんといけんに」
T君 「なんで?」
先生 「ん~説明が難しいな…他のは2個ずつあるけど、これとこれは2個無いけん、右と左とでバッテンになるように置くの」
T君 「なんで?」
この後も言葉で説明しようとしても納得できないT君。そこで先生はT君に背を向けて右手を上げ、T君にも右手を上げるように言います。
先生 「いまTちゃんの右手と同じ方でしょ」
T君 「うん」
先生 「じゃあ先生、Tちゃんの方向くよ」 (T君と向かい合う) 「そしたら…」
T君 「はぁっ!!!?」「もう一回やって!!」「え~!!すごい!!なんで!?」
先生 「なんで? ん~、なんでだろうな?不思議だね」
 
向かい合った相手の左右に対する発見! T君の「はぁっ!!!?」には、自分の常識を覆された瞬間の驚きが、「もう一回!」には、検証しようとする探求心が、「すごい!!なんで!?」には未知に出会うことの喜びや畏怖、解き明かしたい意欲が表れているようですね。
「モノを知る」ということは、単に知識が増える、ということだけでなく、子どもにとっては世界の見え方がグルリと回転してしまうような体験を含んでいます。子ども達が日常の生活の中で、モノやヒトと関わり、デキゴトを積み重ね、そこで「世界を発見する」たび、天と地がひっくり返るような(今回は右と左ですが)パラダイムシフトが起きているのかもしれません。
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