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アトリエという空間

2022-02-17
アトリエ
コロナ禍になってから誰も使わなくなったランチルーム。そこで毎朝消毒の準備をするのが僕の日課となりました。
昨年度は寂しく作業をしていましたが、今年度、ランチルームを「アトリエ」として整備。消毒の準備をしている時にも、子どもたちが創りたいものの素材を求めてやってくるようになしました。
 
今日も年長さん一人、年少さん二人が…
「丸いの!丸いの!」
「トイレは紙粘土でつくるからねー」
どうやらそれぞれの「家」を作っているらしく、話をしながら入ってきました。
聞いていると、どうも「洗濯機」になりそうな素材をさがしているようです。
 
アトリエには本当に様々な素材が分類されて用意されており、ここに来れば自分の表現したいもの、自分の言葉を形に変える手段・可能性が潜んでいます。
今回のように目的をもって入ってきて、その目的のものを見つけていく子もありますが、
時には思いがけない「モノ」と出会い、他の「表現方法」(「言葉」と言ってもいいでしょうか)を見つけることも。
「あ、こっちの方が言いたいことが言える」と感じ、試し、そしてまたやってくる。
ここは「モノ」と対話し、「モノ」を介して「ヒト」と対話し、なるほど、『子どもたちの100の言葉』が生まれてくる…
異年齢での関わり
さて、先程の3人、作りたいもののリストでしょうか、何やら書いてある紙を持っています。
年少の一人が素材に触発され、「掃除機もいる!」
そして「『そうじき』って書いてー」と、自分のリストに付け加えることを年長さんに頼んでいました。
 
一方の年長さんも自分の「洗濯機」になる素材をさがしながら、なかなかイメージに合った素材を見つけられない年少さんに提案してあげていました。
「これ、洗濯機とか?」と言って素材を見せます。
すると年少さんたち
「これで洗濯しよー」
「ポテトみたい」
「ユニコーンにしよう」
洗濯機から離れてどんどん思考が膨らんでいく年少さん。
年長さんはあくまで洗濯機からブレず、「こういうやり方もあるよ」と、紙を丸める方法を年少さんたちに提案しています。
時には
「これゴミ箱みたい―」という年少さんの声に
「そうだ、ゴミ箱もいるな」と気付く年長さん。
 
思考の広がりと、気付きと、提案と、…
年長さん、年少さんの「モノ」との出会い方の「違い」が、お互いにたくさんの刺激を与えあい、このアトリエでどんどん「作りたい家」のディティールが、あるいはその家から広がる物語りが深まり、広がっていく。
 
「モノ」との出会いの場に豊かなやり取りがあり、その中でいろんな「コト」がお互いの間に作られている。
その瞬間に立ち会えている幸せを感じ、ここで起こっていることの意味を考察し…、なのでついつい消毒の準備に時間がかかってしまいます。
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