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園長ブログ

連携の保育(2)ー「塗り絵」では終わらない(ほしぐみの実践)

2018-01-23
顔だけの鬼①
塗り絵の鬼②
やさしい鬼③
ねむい鬼③
いけんことをやったら教えてくれる鬼
おじいさんに石を投げる鬼
 
認定こども園の目的は、保育活動だけではありません。保護者支援や地域での子育て支援というもう一つの柱があります。地域貢献もそこに含まれます。
 
私たちが大切にしたい理念を維持しながら、地域社会からの連携の期待をどのように具体化していくのか。認定こども園である限り、その問題と常に向き合っていかなければなりません。
 
前回のブログでは、婦人会との連携での工夫と成果をまとめてみました。今回は企業との連携の工夫と成果をお伝えしてみたいと思います。
 
先週から、ほしぐみ(5歳児)の子どもたちの作品がローソン・ポプラ琴浦赤碕店で展示されています。お店には、子どもたちが描いた、2種類の鬼の顔の塗り絵が展示されています。もうご覧になりましたでしょうか?
 
塗り絵がすべて悪いとは思いませんが、自由画とは違って、形や線などがすでに決まっていて、子どもたちがそれぞれのイメージを膨らませることができず、制作に対して受け身になってしまう子どもも出てきます。やる気が起きないという状態です。
 
依頼主さんは、そのあたりの理解をしてくれていて、塗り絵ではなく自由画でも構いませんとは言ってはくれました。ありがたい配慮ですが、子どもたちが自由画で描くとなると、今度は、子どもたち一人ひとりが鬼についてのイメージをどのように作り深めていくのかが課題となります。
 
みんなの生活アート展に向けて、それぞれの作品に対する制作意欲が高まっている中、鬼をテーマにした制作活動を本格的に組み込んでいくのは子どもたちにとっても、先生方にとっても大きな負担になります。
 
そのようなジレンマを抱えながら、ほしぐみの先生方が、「子どもたちの作品を地域の方々に見て貰い、いろいろと感じていただけるのであれば」、と午後の時間を使って、依頼に対応してくれました。
 
展示までのプロセスは、次のようになります。
 
①すぐに塗り絵に入らず、それぞれが持つ鬼の(顔の)イメージを画用紙に自由に描きました。怖い、優しい、意地悪、眠いなど、一人ひとりが持つ、鬼のイメージがそこには表現されていました。
 
②そうしたイメージをふまえ、次に2種類の顔の中からどちらかの顔を選び、その顔に色を塗っていきました。線に従って色を塗ることに集中している子もいましたし、形を崩したり線からはみ出したりしながら塗っている子もいました。
 
前者の子どもたちは、塗り絵の前に創った鬼のイメージを色の構成を中心に表現しているわけですし、後者の子どもたちは最初に創った形や線のイメージが塗り絵の絵柄には収まらなかったと見てあげると良いと思います。どちらも間違いではありません。
 
③ほしぐみの先生の実践は、そこで終わりませんでした。塗り絵を描き終えた子どもたちに、「今度は鬼の全身像や生活している環境を書いてみようか」と声がけをしていました。その結果、①で「形」を自由に発想する機会を設け、②(塗り絵)で「色」で考える機会を設け、最後に③で、一人ひとりの鬼の姿や生活へのイメージを描くという取り組みになりました。
 
さらに、そこにタイトルをつけたことで、イメージを深めることができました。例えば、写真はMさんの鬼です。タイトルは「みんなに優しい鬼」だそうです。「みんな」に優しいだけあって、本当に「優しい」表情をしています。ちなみに、Mさん本人もとても優しく、それが描き出されている表現豊かな作品です。
 
塗り絵と最終作品とをお店で展示しても面白いよねと、お店側からは言っていただいていますが、最終作品をお店に展示することを子どもたちに伝えた上で描いたわけではないこと、お店に展示するとなると、全員の作品を展示しなければならないという抑圧が働いてしまうことなどがあり、展示については慎重に考えています。ほしぐみの部屋の周辺での展示でも構わないように思います。その時には、ぜひご覧下さい。
 
お店に展示してある作品は、「地域の方から頼まれたので、何となく、みんなで塗り絵をして、それを提供した」というものではありません。その作品をめぐって、子どもたちは「自由に発想すること」、「制限された中で構成すること」、「形で表現すること」「線で表現すること」「色で表現すること」など、多様な表現活動に取り組んでいます。それも、保育者から言われて仕方なく取り組むのではなく、自分の表現を追求したいという意欲が土台になっています。
 
地域の方々が声をかけて下さったことで、こうした工夫が生まれました。このような機会を与えて下さった、お店の関係者の方々には感謝します。また、地域の方々の思いを受け取りながら、園が大切にしているものとの間を橋渡ししてくれた、先生にもご苦労さまと言ってあげたいですね。
片桐隆嗣
 
 
社会福祉法人赤碕保育園
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鳥取県東伯郡琴浦町赤碕1867-8
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