本文へ移動

自分の生活として「戦争と平和」を語りあう子どもたち

2022-03-09
卒園間近となった2月末、ロシアがウクライナに侵攻するというニュースが、年長さんたちにも衝撃を与えました。それまでにも「平和」や「権利」について話し合い、表現してきたという経緯もあり、子どもたちから自然と今回のことについて真剣な対話が始まりました。

「これじゃ平和じゃない真っ黒な世界になっちゃう」という子どもからの問題提起から始まり、「止めれんかったら倒すしかないよ」「それじゃもっとひどくなる!」「じゃあどうしようもない」…。答えのない問いに、子どもたちは葛藤を抱えながらも「みんなでやめてって言う、それしかないよ」と手紙を出す案が出たそうです。
案が出ててからも、「本当に読んでくれるかな」という不安、そして「逆に怒っちゃうんじゃない?」「私たちも捕まっちゃうんじゃない?」という恐れが子どもたちから出てきます。
それに対し、「名前を書かないようにして、『日本の子どもたちより』って書こう」という先生の案に、子どもたちは「そしたら日本のこども園ぜんぶ壊しちゃうかも」「ロシアって核兵器もっとるけ」。

この発言に、担任の先生から、過去に日本も戦争をしていたこと、世界で唯一原爆を落とされたことを伝えました。子どもたちの間に驚きが広がり、しばらく絶句したそうです。
その後で子どもたちは、その時どうなったのか、なぜ日本が戦争をしなくなったのかと問いを出し、
「でもまた日本にも空から落としに来るかもしれん」という恐怖、そして今まさにウクライナの人がその恐怖を抱いていることを思い、やはり手紙を届けなければ…という思いを強くしたようです。
 
子どもたちが今のこの状況で何とかしなければと行動を起こしている。でも「武力」という脅しにより、言いたいことを、伝えたい言葉を自由に表現することが出来ない、そんな現実が日本の、ここ赤碕の、子どもたちの話し合いの中にまで暗い影をおとしている、そんな世界にしてしまった私たち大人の責任を痛感します。

しかし、そんな相手に対しても、ある子は
「でも手紙を出すなら、プーチン大統領が何をしようとしているのか、何を考えとるか聴かんといけん。だってプーチン大統領の考えとること分からんもん」と、あくまで聞く姿勢、対話する姿勢を貫こうとしています。
これはプーチン大統領だけでなく、今の大人全員に対する痛烈なメッセージだと感じます。

何とか行動を起こしたい、でも実際問題、手紙が届くことでどうなるかが恐ろしい。そこで、家庭からも話し合い、お家の人から「琴浦町長に届ける」「日本の一番偉い人に渡す」等、間に大人や公共機関に入ってもらう案を出していただきました。

子どもたちは今日も不安・恐れ・葛藤の中行動を起こそうとしています。ここから先は、卒園生から私たち大人に向けて出された課題、私たち大人が応える番ではないでしょうか。
 
  • 子どもたちの対話の概要をここに紹介しました。今までの過程、その後の活動、そして子どもたちの学びについても今後綴っていきたいと思います。
TOPへ戻る