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コロナ禍の中、願いを実現しようとする子どもたち

2021-08-04
7月中旬、あるクラスをのぞくと、子どもたちが共同で「ウシ」を作っていました。

何年か前にすごくウシの好きな子がいて、その時もウシ作り楽しんでたなー…と懐かしく思い出し、ここに至った経緯を聞いてみました。

今回のウシ作りは、「七夕」がきっかけのようです。七夕の紙芝居に、ヒコボシ(牽牛)が牛の世話をしている場面があり、それで牛に興味を持ったようです。いろんなところに「生活が楽しくなるきっかけ」ってあるモノですね。

でも時はコロナ禍真っ最中。
担任の先生から「大山乳業の工場」や「牧場」に見学に行けないか相談を受けましたが、この時期、特に衛生に気を遣うこれらの施設は受け入れ不可となっていました。
 
でも、それで諦めるような子どもたちではなかったようです。
七夕の話し合いで「祭りがしたい!」と提案したD君。
祭りで何をしたいの?という問いに
D君「え~…牛のエサやり!」
Yさん「でも行けれんがん、コロナだもん」  
S君「マスクしたらいい!」
Tさん「じゃあ作ったらいいんじゃない?段ボールとかで」
 
こうしてウシ作りが始まりました。
子どもは「表現せずにはいられない」存在。そして表現することが自分たちの言葉となっている子どもたちにとって、単にそれは「感じたことを表す」に留まらず、自分たちの願いを実現させる手段でもあるんですね。
 
全国的に今までにない勢いで新型コロナの感染が広がり、様々な場面で今まで以上に行動が制限されてしまうことになりました。
コロナが原因で、やりたい!ことが思うようにできない。行きたい!ところに自由に行けれない…。子どもたちもそれは理解し、今はそれが日常なのだと自覚しています。
「どうせできないから」という日常は、子どもたちの主体性の根本を揺るがしてしまう危険をはらんでいます。この中にあって「ウシに会えないんなら作ったらいいんじゃない?!」という発想は、受け止めようによってはある意味寂しいことなのかもしれません。
でもそれ以上に、この「コロナ禍」をモノともしない子どもたちの想像力と創造力に、未来を自分たちで切り開こうとする力強さを感じました。

今がずっと続くことではないことを信じつつ、でもそれを待つだけでなく、「今抱いている願い」を「今の制限の中」で、「今ある自分たちの力」を活かして実現させてしまおうとする子どもたちに、今日も元気をもらっています。
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